せんとくん応援ブログ

不滅の英雄せんとくんを讃えるブログです

せんとくん五七五②

角取れば


つるっぱげだよ


せんとくん



・・・せんとくんのデザインは、童子を基調に少し仏様要素を加えて、さらに頭部に鹿の角を生やしたものです。ですから当然、角を引っこ抜けばつるつる坊主です。


詳細はまた別の記事で書こうと思いますが、せんとくんの誕生からしばらくの間は批判の嵐でした。それに耐え抜いたからこそ超絶人気者になることが出来たのですが、幾つかあった批判の理由の中で最も大きなものの一つは、そのデザインでした。


「可愛くない」だとか「気持ち悪い」だとか、散々な言われようでした。そうした批判を浴びせた人々も、やがてその気持ち悪さの魅力に気が付くことになるのですが、客観的に見て万人受けするデザインではないことはファンである私も認めざるを得ません。ある程度見慣れて自分の中に耐性が出来るまでは素晴らしさが分からない人が多くいたのも必然だったと言えるでしょう。


そして、ビジュアル面で当初は多くの人の拒絶反応を引き起こしてしまった最大の要素は、鹿の角にこそあったのだろうと思います。


坊さんの頭に角が生えているのは明らかに不自然です。しかも、鹿の角は鹿という動物に付いているからこそ可愛く見えますが、人間に組み合わせると不気味でさえあります。


しかも単純に美醜の面で批判されたのみではなく、具合の悪いことに鹿の角を生やしたことで一部の仏教関係者からも非難されることになってしまいました。仏様に鹿の角を生やすとは不敬極まりない、ということです。


結果的に、鹿の角を付け加えたことで多くの批判をその一身に受けることになってしまいました。


実際、角がなくても一定数の人は「可愛い」とみなしてくれたことでしょう。私がクソガキの頃、夏休みの再放送か何かで『一休さん』のアニメがやっていたのですが、このアニメは昔かなりの人気があったそうです。放送終了から10年以上経っても再放送をするくらいですから、それもそうでしょう。


この作品の主人公は一休さんですから、当然スキンヘッドです。でも、今思い出しても、丸坊主特有の可愛らしさや愛嬌がある魅力的なキャラクターでした。


もちろん、両者の違いは角の有無のみではありませんが、せんとくんのあのビジュアルがどれほどの物議を醸したかを顧みると、むしろ角がない方が一般受けする「可愛い」キャラクターでいられたかも知れません。


しかし、私はせんとくんには角が絶対的に必要だと断言します。ここだけは譲れません。角がなければ、せんとくんせんとくんでなくなってしまいます。まず、インパクトが弱すぎます。つるっぱげになってしまったら、平城遷都1300年祭という国家的大イベントを背負って立つキャラクターとしては個性がなさ過ぎる。それによって多少可愛さが増したとしても、印象に残らない当たり障りのない可愛さで、魅力は激減してしまっていたことでしょう。


あくまで一休さんはテレビの中で動いて話しますから、見た目はインパクト勝負ではなく何となく万人受けする感じにすれば良かったのでしょう。そういう意味では、殆どしゃべらず直立不動か踊っているかしかないせんとくんと同じ土俵で語ることは出来ません。

 

せんとくんというキャラクターの最大の魅力は、他ならぬその気持ち悪さ、不気味さ、つるつる頭と角の組み合わせが醸し出す不協和音にこそあります。また、そこに微かに存在する可愛さが良いスパイスとなってただの化け物となってしまうことを絶妙に防いでいる。気持ち悪さ故に当初は大きな批判を浴び、またその気持ち悪さ故に誰もが忘れることのできない人気者となりました。少し前に流行った『きも可愛い』というカテゴリーに入れられることも多いですが、私はその概念にも当てはまらないと思います。せんとくんのキモさには、受け狙いのあざとさのようなものが感じられません。本当に奇跡のようなキャラクターなのです。


そして、せんとくんを他のどんなキャラクターとも一線を画する存在にしている最大の要因は、その角にあると私は思います。


取りとめのない文章になってしまいましたが、せんとくんから角を取ったらつるっぱげになり、つるっぱげの方が当たり障りのないキャラクターとして浴びせられる批判の量も少なかっただろうと思います。


しかし、それでは絶対にいけなかった。そんなせんとくんは、せんとくんではなかった。つるっぱげのなんちゃって一休さんでは、非難は少なくても当たり障りがなさ過ぎてあれほどの爆発的人気を得ることはなく、10年以上経過した今でも奈良県の公式マスコットキャラクターでいるということもなかっただろうと思います。この世から絶滅してしまっていた可能性すらあるでしょう。


「角取れば つるっぱげだよ せんとくん


信仰の面で角を生やしたことを批判する意見に対しては、私は否定も肯定も出来ません。でも、この造形だからこそ、せんとくんは今日に至るまで活躍を続けることが出来ているのだと思います。『角の生えた童子(仏)なんて気持ち悪くて魅力がないから角引っこ抜いてつるっぱげにしろ』という意見に対しては、私は自信を持って断言できます。『坊主頭と鹿の角が醸し出す絶妙なハーモニーこそ、あなたの言う気持ち悪さこそ、せんとくんの無限の魅力の根源なのです』と。